その日の翌日。厳冬の小さな劇場で、紅顔の演劇青年の俺は舞台に立っていた。ラストシーン、スーツケースを持った俺。新たな旅たちを決意した劇中の俺が、歩き出す。その瞬間、スーツケースが不意に開き、多量の檸檬がこぼれ落ちる。さわやかな檸檬の香りが客席に広がり、感動的なエンディング。今考えただけでも、鳥肌が立つ。しかし、受けを狙う演劇青年のいやらしさ。俺は、檸檬を1個つかんで、高らかに叫んだ!
ジョン・檸檬!永遠なれ!
その瞬間、「イマジン」カット・イン!俺は拍手喝采のエンディングを予想していた。しかし、何故か客席は白けた雰囲気。アレ?そのまま、無情なエンディング。打ち上げの席、仲間から外れ、檸檬サワーを飲みながら、独り涙した。誠に酸っぱい青春の味。Now And Then