どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

青木さやか【母】を読む。

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その昔、俺は、青木さやかにインタビューしたことがある。当時、奉職していた某大学のOBだった。某大学が創立50周年を迎えるにあたって、OBのインタビューをHPに掲載しょうという企画があった。俺は、その担当だった。他にも何人かインタビューしたが、世間的に名前が知られているのは、青木さやか、だけだった。まぁ、なんとも情けない話だが。青木は、創立50周年迎えるにあたって、カレッジソングを新たに作成する企画にも参加していた。まぁ、母校愛にあふれていたのか、損得勘定か、わからぬが。
当時の青木さやかの位置づけは、三流の女芸人というものだった。まぁ、世間の評価はそんなもんだった。俺も、なんだよ、青木さやか、かいう感じでインタビューをした。まぁ、そつなくこなす感じで、やっぱ芸人は違うかと思った。「青木さんは、なぜ、芸人になりたい」と思ったのですか?聞いた時、「私は、なりたいと思わない。なると思うの」と、なかなか洒落たことを賜った。俺は、一瞬、オッ!と思った。有無。なかなか言葉だ。青木の言う事は、多分真実である。特に、女芸人みたいな特殊な世界はそうであろう。なりたいという生半可気持ちでは無理だろう。なる、という意志がなければ。よく、有名人への若者の質問で「○○さんみたいに、なるには、どうしたらいいのですか?」というものがあるが、そいつは、その時点で、絶対に○○さんみたいにはなれない。
しかし、青木のその言葉はウソだった。ネタバレになるので詳しくは書かぬが、上京する男についてきただけで、女芸人になるつもりは、ほとんどなかった。それはそれで、スゴイ。青木は、本書で、自分をあからさまにさらけ出す。男、パチンコ、サラ金、癌、出産、そして、大嫌いな母の事。

母 が い なく なる。   嫌悪 し て い た 母 が、 い なく なる。   ようやく、 みえ なく なる。   聞か なく て いい 声 が、 聞こえ なく なる。   これ を 待ち望ん で い た のか。 多分、 違う。 だって、 母 の 姿 が この世 から 消え た からと いっ て、 わたし の この 嫌悪 の 感情 が なくなる とは 思え ない の だ。 きっと、 この 感情 は、 母 が い なく なろ う とも 追いかけ て き て、 わたし を 苦しめる に 違い ない。

ブレーンがしっかりしてたのだろう。一気に読めた。意外な文才である。女芸人としての青木さやかは、もうダメだろう。この先、シングルマザーとしていかに生きていくのか。そんなの関係ねか、俺にとって。
まったく余談だが、某大学の50周年行事の後、青木のサインがしばらくの間に飾ってあった。これは、これで、なかなかのノーコメントだわ。