どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

「PERFECT DAYS」と「An Autumn Afternoon」

「PERFECT DAYS」主人公の名前、「平山」。
小津安二郎東京物語」へのオマージュらしいが、小生は、遺作「秋刀魚の味」の「平山」である気がする。どっちも「平山」だけどね。

秋刀魚の味」のエンディングは、物悲しい。一人娘の婚礼を終えた夜、ひどく酔って帰宅した平山(笠智衆)。台所の椅子にひとり寂しく座る。そこで、【終】。娘の結婚も、意中の人ではなく、平山が半ば強引に進めた見合いの相手。映画にも出てこない。俺的には、なんとなく納得できない感じが残る。

秋刀魚の味」の前作「秋日和」。こちらは、一人娘を嫁がせた母親の物語。父親と母親の違いではあるが、映画の趣きはまったく違う。娘の婚礼を終え、アパートに戻った原節子は静かに微笑を浮かべる。そこで、【終】。娘の相手は、意中の相手。幸せな結婚である。納得のできるエンディングである。

秋日和」がポジなら、「秋刀魚の味」は、ネガ。ネガで終わる映画人生は、いかにも小津らしいが、小津大好きの俺には、いまいち感が残る。小津大好きのヴィム・ヴェンダースも同じ気持ちであると、勝手に想像する。


「PERFECT DAYS」の製作の機会を得たヴィム・ヴェンダース。「秋刀魚の味」の平山を成仏させようと考えた。俺の妄想。