どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

我が青春の【名演小劇場】閉館の悲しさよ

また、ひとつ、俺の青春の思い出が消える。

名古屋以外の方は、全然わからないお話。名古屋の中心、栄地区に【名演小劇場】という客席200席のこじんまりした劇場がある。現在は、映画館になってしまったが、その昔は演劇を中心とした劇場であった。設立の経緯は、地元の演劇人たちが、自分たちが公演するに適当な劇場がないことから、広く呼び掛けて、資金を調達し、出来た自前の劇場である。全国的見ても、めずらしい劇場である。

名演会館ビル(名演小劇場)建設の呼びかけ人には千田是也杉村春子宇野重吉など、当時の演劇界の重鎮が名を連ねており、その他にも全国の演劇関係者・全国の文化関係者・地元劇団などが名演会館ビル建設に協力している。


俺の初舞台は、この【名演小劇場】である。演目は、韓国の詩人【金芝河(キムシバ】の戯曲【金冠のイエス】。作者の【金芝河】は、朴正煕政権下、反政府活動し、投獄された。その後学生運動を主導し、当局から何度も逮捕拘束されたバリバリである。戯曲【金冠のイエス】は、こんな内容
            

金冠のイエス
「重い皮膚病を負った人」「野宿者」「売春婦」の3人が、肩を寄合って座っている。すぐ横には、「黄金の冠」を被せられたイエス像。社長によって建てられた像。社長はこのイエス像に言う。「金の冠が、お似合いだ。去年のクリスマスに、わたしの寄付で作られたことを忘れないでほしい。金を儲けさせてくれ。次のクリスマスに体全体を金箔で飾ってあげよう」 イエス像は、三人の前で突然叫びます。「どうか自分を囚われの身から解き放ってくれ。困難に生きている人を解放するためには、わたしがまず解放されなければならない!」

なんか、よくわからない内容。当時は、全然わからんかったが、今読んでも全然わからん。ギリシャ悲劇を彷彿とさせる。この戯曲には歌があり、 地下抵抗の歌 フォーソングとして、日本でも中山千夏、新谷のり子がレコードを出した。俺の初舞台は、この歌を唄うコロスであった。半世紀近くも前のことだから今さら、青春でもないか。