どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

再び、【藤原新也】にハマる。

       

1983年発売の藤原新也の大ベストセラー【東京漂流】。若き俺は、完全にこの本にハマった。

この本は、藤原新也が写真週刊誌「Focus」に連載した写真と記事がもとになっている。殺人事件の現場、遺体、東京に当時残っていた野犬とその駆除、そのすべてが俺の心を惑わす。後追いの、のぞきの趣味の「Friday」とは違い、現代を映しだす写真週刊誌であった。(皮肉にもそれ故か「Foucus」は休刊になり、「Friday」は現在も発行している。やっぱりアホ女のグラビアがないと無理か、嘆かわしいことである)
藤原新也の「Focus」に連載は、突然打ち切られた。サントリー・オールド事件である。オールドのシルクロードを扱った広告に藤原は、怒り心頭。世界中を旅した藤原とって、上澄みだけをすくったようなオールドの広告がカチンと来た。シルクロードは、あんなキレイごとではない。それなら、サントリーに鉄槌を喰らわせてやるとばかりに、当時「Friday」に掲載されていたサントリー・オールドの広告をエスプリたっぷりにパロッた。しかも、辛辣なことに、藤原は、十八番の「犬が人の死体を喰う写真」、有名な「人間は犬に食われるほど自由だ」でパロッた。当然、「Friday」は大スポンサーの手前、掲載することはできず、藤原に通告した。当然、藤原は怒りプンプンである。自ら連載を休止した。藤原の行いは尋常ではないが、そこが藤原新也藤原新也たる由縁だ。「Foucus」の連載記事の加筆して【東京漂流】を世に出す。骨太の現代批評は、多くの人に受け入れられる。俺もその一人である。【東京漂流】に心酔した。その後発行される藤原の本はすべて買ったが、【東京漂流】を超えるものはなかった。朝日新聞に連載した【丸亀日記】あたりから、なんだか丸くなった藤原に失望して、藤原から離れた。その後、藤原の活動を知る事もなかった。

最近、Spotifyを何気なく検索していたら、藤原新也【新東京漂流】のポットキャストを発見した。
         


なんじゃ、これは!

【新東京漂流】を見た時の驚きである。聞けば随分前から週1回のペースでJ-WAVEでオンエアされていることらしい。全然知らなかった。もっと早く知っていればと悔やんだが、ポットキャストのなので初めから聞ける。そういう時代になったんだなと、今さらながらのしみじみした。(遅いか)早速、初回から聴いた。

「今、私たちは何処にいるのか?」
写真家・藤原新也が、時に話題の人物にインタビュー、
時に路上から、時に旅に出て、時代の「今」を切り取るノンフィクション番組。

インタビューもあるが、藤原新也のモノローグの方が断然面白い。過去に撮影した時の様子(死体を喰う犬、象狩り、ハスの花等々)を話す。実体験だから詳細に語り、思わず引き込まれる。その他、白土三平オウム真理教麻原彰晃の兄、コロナ禍の現実、香港雨傘運動、故郷の門司の話題など、多岐にわたり、ぐいぐい引き込まれる。気がつくと全部聴いてしまっていた。2月5日オンエア分で151回を数える。今年79歳を迎える藤原新也は、かくしゃくたるものだ。【東京漂流】の藤原新也がそこにいた。残念ながらオンエアは2月いっぱいで終了。後は藤原の有料サイト【CATWALK】で継続の予定。続けて聴きたいのはやまやまだか、月1000円の出費は、年金生活者は二の足を踏む。まぁ、月1000円ばかりなんぞ、断酒すれば訳ないのだが・・・。

蛇足 【新東京漂流】ではなく、【シン・東京漂流】なら、今風だったのに