【前振り】
1960年代後半~「小劇場運動」というものがあった。新劇が主流だった演劇界に反発し、自らの演劇を追求する場として、数多くの若者が小劇団を旗揚げ。早稲田小劇場、状況劇場、天井桟敷などが有名処。特に早稲田小劇場は、小劇場運動の旗手的な存在であった。代表作「劇的なるものをめぐって」は、鈴木忠志による構成・演出の独自性、孤高性、迫真性、小劇場運動の金字塔的な作品である。その作品を支えたのが、看板女優の「白石加代子」。その迫真な演技ゆえに、当時「狂気女優」と揶揄された。小劇場の暗闇の中で、その凄まじい演技に俺は震えた。やや、前振りが長くなった。
「関ケ原の戦い」篇。北川茶々が、吹越輝元の頬を打ち据えるシークエンス。その迫力。その衝撃。その凄味。
これ、白石加代子じゃん!
美人の誉れの高い景子ちゃんを「狂気女優」の例えるのも如何なものという気もするが、その演技に恐れ入り谷の鬼子母神。美しさだけの女優と思っていた己の愚かさを恥じる。美人女優から、大女優への、始めの1歩を見た。(最近は、女優ではなく俳優と言うらしいが・・・)
北川茶々VS松潤家康、最期の戦いの幕があがる。ゾクゾクゾクゾクゾクゾク・・・。
蛇足。
頬を打たれた吹越輝元のおびえた目。本当に怖かったんだろうなぁ~。感想を聞いてみたいね。