どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

昭和名画座 市川崑「ぼんち」

           

「ぼんち」とは、船場商家の跡取のこと。「ぼんぼん」とは違い、放蕩を重ねても、ぴしりと帳尻の合った遊びする者の呼称。「せんべい」のことじゃないよ。

老舗足袋問屋の一人息子、市川雷蔵中村玉緒(正妻)、芸者の若尾文子(2号)、仲居の草笛光子(3号)、ホステスの越路吹雪(4号)の愛の物語。令和では許されない愛の形だが、昭和初期では全然問題ありませ~ん。
船場商家の厳しい家族制度、特殊な風習は、興味をそそる。妾が許された時代、そこら辺はキッチリしている。芸者の若尾文子が、いわゆる本宅にご挨拶にいくシークエンスは、その様式美に惚れ惚れする。圧巻は、疎開先で4人の女性が楽しそうに語り合いながら入浴しているのを、覗き見る市川雷蔵のひょうけた表情。軽妙な演技が光る。女は強し!の感、ありあり。
昭和初期は戦争に突入する暗い時代だけだと思いがちだが、人々は大らかに生きていた明るい時代でもあった。令和の時代は、どうなんでしょう。