「檸檬」は、代表作。「檸檬」という漢字をこの作品で初めて知った感じ。しかし、書けない。読めるけど書けない。この手の漢字は、以外と多い感じ。
内容は、貧乏学生が京都の街をフラフラ歩き廻り、途中檸檬を買い、その檸檬を丸善に置いてくるというどうでもいい話。でも、印象的。名作とは、こういうものだという典型。
☟ワタシのお気に入りのシーン
「第一に安静。がらんとした旅館の一室。清浄な蒲団。匂においのいい蚊帳かやと糊のりのよくきいた浴衣。そこで一月ほど何も思わず横になりたい」
檸檬より、匂においのいい蚊帳かやと糊のりのよくきいた浴衣に心惹かれる。小生も当時の梶井同様、体が弱くなっている証か。
31歳の若さで逝った梶井。生前は、文壇でその才能を認められることもなく、死後にその評価が高まる。ワタシの大好きな中島敦といい、明治期の作家は、このパターンが多い。しかも、肺結核が多い。肺結核は、貧乏病。栄養不足が引き金になることが、ままある。明治時期、文学を志すものは、才能との闘いの前に、貧乏との闘いがあった。赤貧の中、百年作品を生み出した。
檸檬忌 明治は遠くなりにけり
蛇足。
「檸檬」作者、なんとなくイケメンの趣き。実像は、@@@@@。
