どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

黄門さまは、やっぱ長生きだったのさ。

    

佐野浅男、96歳で逝く。


俺のベストの佐野浅男は、【男はつらいよ  寅次郎夕焼け小焼け】で、大地喜和子から200万円をダマす悪漢「鬼頭」。たぶん、【男はつらいよ】史上、一番嫌な奴であろう。それだけ、佐野浅男の好演が際立った。佐野の好演もあり、【男はつらいよ  寅次郎夕焼け小焼け】は、ピリッとワサビの効いた作品である。おそらく、【男はつらいよ】史上、一、二位を争う逸品である。俺の評価は、一位竹下景子の「口笛を吹く寅次郎」二位松坂慶子の「浪花の恋の寅次郎」三位が「寅次郎夕焼け小焼け」である。なんや、三位かい。閑話休題

佐野浅男は、【劇団民藝】の結成に参加した、バリバリの新劇人。その昔、【新劇】(昭和語)という言葉が存在した。

新劇
ヨーロッパ流の近代的な演劇を目指す日本の演劇を指す。旧劇(歌舞伎を指す)、新派(書生芝居の流れ)に対する言葉。当初翻訳劇を中心に始まり、歌舞伎や新派の商業主義を批判し、芸術志向的な演劇を目指した。

太平洋戦争下、慰問移動演劇「桜隊」に所属。本土決戦に備える特攻隊に応召、「桜隊」を離れる。その後、「桜隊」は広島で原子爆弾被爆し、消滅。皮肉にも、佐野は九死に一生を得る。その後、戦争については語ろうとしなかったが、「これまでは自分だけが生き残ったことが後ろめたかった。しかし、仲間を知る人がいなくなった今こそ」と沈黙を破り、自らの戦争体験を積極的に語り始める。

また、戦争を知る人が逝った。死因は【老衰】。まさに、黄門さまの大往生。