どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

観たいけど、観たくない映画 【PLAN75】


PLAN75
少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度<プラン75>が国会で可決・施行された。様々な物議を醸していたが、超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムードとなる。
当事者である高齢者はこの制度をどう受けとめるのか?若い世代は?<プラン75>という架空の制度を媒介に、人は何を選択し、どう生きていくのかを問いかける作品が誕生した。公式HP

9年ぶりの主演作となる倍賞千恵子。「最初はひどい話だと思ったが、ある選択をするミチに心惹かれ、出演を即決した」 ある選択とは、何か?気になる。映画だから、悲惨な選択ではないと思うが、現実はどうだ?
近い将来、5人に1人が75歳以上になる日本。この映画は、絵空事ではない。他人への不寛容さが、蔓延する現代。「命の尊厳」など、もはや死語である。

いや〜な映画だ。だが目を離せない作品だ。
あなたの明日がこうなるかもしれない。
それでいいのか。上野千鶴子(社会学者)

「それでいいのだ」と思う。by 天才バカボンパパ

この4月から、老齢年金の繰下げの上限が70歳から75歳に引き上げられた。75歳に繰り下げると随分お得になる。75歳である。そこはかとなく、「PLAN75」への道しるべの雰囲気が漂う。

逆説的だが、75歳で、自らの今後の人生を選択できるのは、ある意味、幸せかもしれない。

健康寿命
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。男性72.68歳・女性75.38歳。

75歳を越えると、不健康な人生が待っているだけである。不健康な人生は辛い。不健康な人生を送っている俺は、しみじみ想う。

さて、現実的には、実現不可能な「PLAN75」が、実現された場合、俺は申請するのか? 日頃「長生きは、リスク」と、うそぶいているわが身は、申請するだろう。問題は、75歳まで生きていられるかということだ。今年、65歳になる俺。後10年。とても自信がない。それはそれで、悲しい話。

蛇足。その昔、老人ホームでの話。入居者に「ここに苦しみなく死ねる薬があります。あなたは飲みますか?」と冗談めかして言ったところ、全員が、真剣な表情で「飲む」ときっぱり言ったそうだ。映画は、現実を超えられるか。観たいけど、観たくない。