どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

西村賢太、逝く

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芥川賞作家【西村賢太】、逝く。

芥川受賞の挨拶で「風俗に行こうと思っていた」と発言した、ナイスガイである。中学卒業後、アルバイトで生計を立てながら小説を執筆。2007年に「暗渠の宿」で野間文芸新人賞、2011年に「苦役列車」で芥川賞。大好きな作家だが、芥川受賞作「苦役列車」より「小銭をかぞえる」が好みである。詳しく説明したいが、俺の筆力では無理だし、あまりにも切ない気分になるので、省略。代わりに文庫版の帯文を引用。

「貧しい男女の悲惨で不幸な話を描き、読者に、疼痛のような、小便を我慢しているような悲しみを感じさせながら、同時にひどく愉快な気持ちにもさせる、という奇蹟」

読んでみると、よくわからない帯文だが、そういう小説なのだ。


こんな面白い小話もある。芥川受賞作「苦役列車」が映画化された折の言葉。

芥川受賞作の映画『苦役列車』を鑑賞した際、「どうしようもなくつまらない映画」と酷評。「原作者は、見てつまらなかった映画を、どこまでも褒めなきゃいけないとでもいうんですか。讃辞だけを聞きたければ、自主制作で仲間うちのみでの上映にすればいい」


惜しむらくは、先日逝った「石原慎太郎」に追悼文を書いた三日後に、自らも逝く。

念願 叶かな って初めてお会いした際に、開口一番向けられた「お互い、インテリヤクザ同志だな」との言葉も、常に胸中に掲げている。石原慎太郎 追悼文


享年54歳。あまりにも早すぎる死である。多分、アルコール依存症が引き金であろう。その身の自分にとっては、なんだかしみじみとする。

西村賢太のような作家は、もう出ないだろう。小生が、なるしかないか・・・。