どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

痴漢 それは、恋に一途な男

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NHK中国語講座をぼんやり見ていた。中国では、「痴漢」は、もともと「恋に一途な男」を表す言葉であった。日本語になって、「変態」を意味する言葉に変化した旨。そのきっかけが、大江健三郎の「性的人間」の影響である旨。本当かな~と思ったが、NHKだしな・・・。俺は、意外とNHKを信用している。まぁ、そんなことは、どうでもいい。

「性的人間」である。久々に耳にした。俺は、高校時代にこの本を買っている。もちろん、「性的人間」というタイトルに惹かれてである。原田宗典も同じ経験している。若かりし頃は、そういうもんだ。「性的人間」自体は、たいして面白くない。しかも、大江の文章は読むのが難しい。同じ本の中に「セブンティーン」という、佳作が掲載されている。この「セヴンティーン」に完全にはまった。折しも、俺は、17歳。物語は、自慰行為にあけくれる、いまいちの青年が、「右翼」という鎧を身に着け成長していく様を描いている。

安保闘争の国会デモでは「おれ」は十万の 《左》どもに立ちむかう二十人の皇道派青年グループの最も勇敢で最も兇暴な最も右よりのセヴンティーンとなった。デモの最中に女子学生が死んで、デモ隊が打ちひしがれて泣きながら黙禱していた時、「おれ」は強姦者のオルガスムを感じ、黄金の幻影にみな殺しを誓う、唯一人の至福のセヴンティーンだった。

ラストの切れ味鋭さは、その後のノーベル賞の萌芽である。「セヴンティーン」が好評だったため、その続編が執筆される。「政治少年死す」である。この小説は、左翼と右翼の両方から批判を受け、発禁になる。左翼、右翼から両方って、さすがノーベル賞作家。
当時の高校生は、大江健三郎柴田翔を読まなければならなかった。二人とも読みにくい小説家であった。微笑ましい青春の思い出。