
年末年始は、山口放送のラジオCMコンテストの応募作品を書いていた。七草がゆの日が締め切り。課題は、山口のローカル企業、まったく知らない。知らないと書けないので、調べた。WEBで見ただけだけど。
【周防大島名物「みかん鍋」】の文字が目に飛び込んできた。
みかん鍋?
「レモン鍋」は、聞いた記憶がある。スライスしたレモンを鍋に入れると記憶している。みかんのスライスを鍋に入れるのか?好奇心に火が付いた。スライスしない。丸ごと入れる。しかも焼いた、焼みかん。しかも、流通経路に乗らない、小ぶりの蜜柑。しかも、ご丁寧に「鍋奉行御用達」の刻印入り。うむ、チャレンジャーだぜ!と思わず唸った。10年くらい前に、地域おこしの一環として、地元名産の温州みかんを、瀬戸内の新鮮な魚介類と一緒に鍋に入れちまおう!という傍若無人な取り組みから始まる。当初は、地元でも「ふざけるな」と非難の嵐。紆余曲折、試行錯誤、なんとか地元に受け入れられる。地元のお墨付きををもらえば、こっちのもんさ。みかんを丸ごと入れるというアナーキーな鍋を、鵜の目鷹の目のワイドナショーがほっとくわけがない。取材依頼が殺到。押しも押されぬ、地元名物になる。まぁ、メインは瀬戸内の新鮮な魚介類の鍋だから、まずいわけがない。みかんは、あくまでキワモノ的な存在で、最後にデザート感覚で丸ごと食す。この丸ごとというのがミソで、みかんの皮には、「ヘスペリジン」という怪しげな成分が多く含まれる。
ヘスペリジン
温州みかんなど柑橘類の果実の皮や袋から抽出される有効成分「ヘスペリジン」は、紫外線から果実を守るために含有されるポリフェノールの仲間です。ヘスペリジンの生理機能として、毛細血管を強くする(ビタミンP作用)、血中の中性脂肪やコレステロールなどの血清脂質を改善する、血流の循環を改善する、血圧の上昇を抑制するなど、血管をしなやかに保つうえで見逃せない機能が報告されています。
怪我の功名。おいおいおい、健康にいいじゃなじゃないか。と、アピールポイントも増える。鍋の〆は、卵白のメレンゲをふんわりとかぶせ、卵黄をのせ、真ん中にネギを置く。その有り様は、まるで、みかん。インスタ映えバッチリ。
こんな感じ☟
・・・・・と、ここまで持ち上げれば、なんとかならんか、山口放送様。
山口と言えば、中原中也の詩を思い出す。
冬の長門峡
長門峡に、水は流れてありにけり。
寒い寒い日なりき。われは料亭にありぬ。
酒酌みてありぬ。われのほか別に、
客とてもなかりけり。水は、恰も魂あるものの如く、
流れ流れてありにけり。やがても密柑の如き夕陽、
欄干にこぼれたり。ああ! ――そのような時もありき、
寒い寒い 日なりき。
やっぱり、山口の人は、みかん大好き。