「燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~」(NHK・BSプレミアム)で「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」という難病を告白したアントニオ猪木。2018年に発症し、今も闘病生活を続けている。
全身性トランスサイレチンアミロイドーシス
タンパク質由来のアミロイドが心臓をはじめとする全身の臓器に沈着する難病。重症化すれば生命を脅かす恐れもあるという。国内の患者数は約2000人。
身長が10センチ近く縮んでしまったというから、なんとも凄まじい病である。病床で、燃える闘魂は、生かされている意味を問い続ける。
「誰にでもいつかはお迎えがくるわけで、その時までに何のために生きるのかが重要なこと。いろんな病院の、いろんな天井とにらめっこしながら、自問自答を繰り返してきました。なぜ自分がこの世に生を受けたのか。生きながらえた自分に課せられた役割とはなんなのか」
燃える闘魂は、充分に生きた。何といっても異種格闘技「VS モハメド・アリ」戦。今では考えられないマッチメイキングだ。世紀の凡戦という批難もあるが、真剣勝負というものは、ああいうものを言うのだろう。アリキックを浴びせ続けられたアリの足は、腫れあがり、満足に歩けなかった。ショーアップされたプロレスとは、対極にある。燃える闘魂、その両方を体現した。イランでは、地元の英雄の骨を折り、国交がない北朝鮮に乗り込み、プロレス興行を成功させる。
余談だが、なぜ、日本政府は、拉致問題に関して、燃える闘魂の北朝鮮との太いパイプを利用しないのか。燃える闘魂が北朝鮮に行くと「二股外交」と揶揄し、足をひっぱる。確かに考えが浅いのは否めないが、それが燃える闘魂。もっと生かす道があったはずだ。難病の身としては、もう無理だろう。残念至極。閑話休題。
「元気があればなんでもできる」を言い続けている燃える闘魂。「その言葉が嘘じゃないってことをひとつひとつ証明しなくてはならない。まだ時間はかかりますが、今はしっかり両足をつけて、私らしく最後まで闘いたい」と語る。まだ、闘うか、燃える闘魂。涙がでる。
次の訃報は、燃える闘魂か。時の流れは、時として、残酷なものよ。充分、頑張っているから、おこがましいが、「ガンバレ!燃える闘魂」