どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

もはや、【芸術品】と言うしかない。

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フリーの回収業者の資源ゴミ【アルミ缶回収】の写真である。もはや、ゴミ回収というより、【芸術品】の域である。なんたる量、絶妙なバランス、それを支える長年にわたり培った技術。そして、なによりも、その美しさ!感嘆するしかない。
この【芸術品】が、悠々と車道を進んでいく。なにしろ、あわてるとバランスを崩し、とんでもないことになる。
アルミ缶回収のルールは、厳しい。アルミ缶だけである。スチール缶が混入していると回収してくれない。スチール缶は、安くて売れないからだ。だから、フリーの回収業者は、いちいちその選別をしなければならない。大変な作業である。缶の中に、残りの液体が入っていてもNG。なかには、灰皿かわりに、タバコの吸い殻を入れる不埒者もいる。これも完全にNG。中の液体を捨て、分別をしていく。中の液体は、必ず溝に捨てなければならない。道路に捨てると、悪臭を放ち、苦情の原因になる。なにしろフリーの回収は、法律上、【持ち去り】という違反行為だからだ。たまに、文句を言っている高齢者を見かける。「うるせー、じじい」と言ってやりたいところだが、法律違反は事実だから、黙って耐えるしかない。へたに警察に通報されたら、一巻の終わりである。大型マンションなどは、管理人に、煙草のなどの付け届けすることもあると聞いた。大型マンションは、言わばお得意様なのである。
回収価格は、相場もあるから、1缶1~5円の範囲らしい。たとえ、最高相場の5円として、100缶で500円。あるマスコミ関係者が挑戦したところ、素人のせいか、時給50円にもならなかったそうな。厳しい世界だ。
彼らは、なぜそんなにまでして、アルミ缶回収を続けるのか。諸事情で他に食べていく道がないからである。自治体のゴミ回収業者も、回収量が減って助かるのではないかと思うが、違うか。100缶で500円、貴重な財源でもあるまい。人件費も省けていいのではないか。しかしながら、全国的に資源ゴミ持ち去り禁止の運動が、盛り上がっているそうな。そっとしておいてやればいいのにと思うが、行政の立場としては、そうもいかんのだろう。わざわざ、条例を制定して、厳しく禁止いる自治体もあると聞く。なんとも息苦しい世の中である。やれやれ。
ちなみに、我が町内会は、金曜日の午前8時までに出す規則になっている。しかし、朝のくそ忙しい時間に出す人は少ない。みんな、前日の木曜日の夜に出す。いいのか、悪いのか、よくわからんが。
アルミ缶回収は、当然早い者勝ちである。しかし、早く行っても、アルミ缶が出ている可能性は少ない。確実なのは、深夜だが、これも他の業者との駆け引きの世界だ。改めて、厳しい世界を実感する。
木曜日の深夜、寝床に入っていると、遠くの方から、アルミ缶を分別している特有の音がしてくる。心の中で「頑張ってください」と思わずつぶやく。アル中で、腰痛で、無職の俺よりも、よっぽど社会に貢献している。アル中全盛期の時代には、多量のアルミ缶を出したのに、今は缶コーヒーのスチール缶で、すまないと謝る。それも変なものか。アルミ缶よ、永遠なれ。なんのこっちゃ。