どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

漫画【リアル】を、リアルに考える。

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リアル
車イスバスケットボール】を題材にした、井上雄彦による傑作漫画。
短距離走の有力選手であったが骨肉腫により右脚を切断、車イスバスケットボールと出会い、挫折や困難に怯まずに戦って強気に前に進もうとする主人公 戸川清春
小学校から高校までバスケットボールに打ち込んでいたが、バイク事故により高校を中退、生き方を見失っていたが、戸川と車いすバスケットボールとの出会いをきっかけに新たな自分の道を見つけようとする野宮朋美
野宮と同じ高校のバスケットボール部に入っていたが、交通事故により下半身不随となり、新たな人々との出会いにより自尊心の高かった自分を変え、車イスバスケットボールに自分の新たな活路を見出そうとする高橋久信
この3名を中心に物語が展開されていく。


オリンピック、パラリンピックの喧噪も去った。オリンピックとパラリンピックを見ていて、ふと思った。「なぜ、オリンピックとパラリンピックに二つの大会があるのか」。当たり前に言えば、健常者と障がい者の大会であるから、二つである。しかし、極端な言い方をすれば、競技は一つだ。だったら、健常者と障がい者が、同じ競技に参加してもいいのではないか。ふと、そんな気がした。もちろん不可能な競技の方が多い。しかし、可能な競技があるのではないか。

小生の頭に、漫画【リアル】のイメージが浮かんだ。個人的な感想だが、井上雄彦の【スラムダンク】より【リアル】の方が、奥が深いし、圧倒的に面白い。作者が描いた年代が違うので、後年の【リアル】が傑作なのは、当然だが、なんだか、それだけではない気がする。つらつら、考えた。もしかすると、競技的には、バスケットボールより、車イスバスケットボールの方が面白いのではないか。
「ティルティング」というテクニックがある。車イスの片側だけ車輪を浮かせるのだ。ジャンプができない車いすで、相手より少しでも高さを得るために編み出された華麗な技で、卓越したボディバランスが求められる。他にも、味方がボールを持ってゴールに向かうときに、スクリーン(壁)となって相手ディフェンダーの動きを封じる「スクリーンプレー」などは、バスケットボールより華麗がである。
言っちゃ悪いが、バスケットボールは、なんだか図体だけデカけりゃなんとなっちゃう感じがする。NBAの華麗なテクニック見ていると面白いが、車イスバスケットボールの面白さもひけをとらない。コートの広さも、ゴールの高さも同じだ。障がいの程度で参加を決めるシステムも、健常者と一番障がいの程度が低いものに設定すれば、なんとかなるのではないか。【リアル】の中の健常者の野宮朋美車イスバスケットボールを試すシーンは新鮮だし、なんか現実味を感じる。【リアル】のテーマが凝縮された場面である。

「多様性と調和」が目標なら、なんとかならんかと思うが、まぁ無理だわな。

蛇足、「車イステニス」を生で見た経験がある。これは、はっきり言って、普通のテニスより、格段に面白い。普通のテニスは、凡庸で、退屈だ、小生の偏見だけど、ポテトサラダ。