どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

落語【芝浜】は、アル中、再生の物語。

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落語【芝浜】と言えば、俺にとっては、古今亭志ん朝にとどめを刺す。江戸情緒あふれる、最後の噺家だった。

芝浜
アル中の魚屋の熊が、芝浜で財布を拾う。女房は、その財布を亭主が酔って寝ている間に隠す。拾った金で飲み食いしようとする熊に対し、「財布なんぞ拾ってない、夢でも見たのでは」と、女房はシラを切る。熊は深酒を反省し、酒を断ち、稼業に打ち込む。女房は、財布を拾得物として役所に届け、落とし主が現れなく下げ渡され、その財布を大事にとってあることを告白する。熊は、女房のその機転に感謝する。

女房の機転のおかげで、熊は、見事アル中を克服する。何度聞いても、しみじみする人情噺である。俺もかくありたいと思うが、前途多難。

さげも秀悦。熊の再生を暗示する。

女房は「久し振りに酒でも」と勧める。熊は、酒の湯呑みを口元に運ぶが手を止める。「よそう。また夢になるといけねえ」

志ん朝もアル中であった。糖尿病を患い、63歳で肝臓がん逝く。死ぬ直前まで、大好きな日本酒を味わったというから、それはそれ、幸せな一生だったのかもしれない。その日、多くのスポーツ新聞の一面を飾った。多くの人が弔辞を述べた。すべからく、江戸の情緒が失われたと。山手線「高輪ゲートウェイ駅」の三番目の候補名は、【芝浜】であった。江戸の雰囲気を残す駅になったのに。残念!


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