どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

林真理子【小説8050】を読む。

      f:id:doncoyasuo:20210715082230j:plain

「8050問題」とは、「80代」の親が「50代」の子どもと同居して経済的支援する状態をなぞらえた中高年ひきこもりを抱える世帯を象徴した言葉。コミュニティ・ソーシャルワーカーとして同現象に触れてきた大阪府豊中市社会福祉協議会の勝部麗子氏が名づけ親。

真理子は、相も変わらず、うまい。お上手である。小説家というより、ストーリーテラーだ。【下流の宴】を読んだ時も思ったが、時流を巧くすくい上げて、物語る。読み始めれば、最後まで一気だ。底が浅いという批判もあるが、真理子は、そんなことは全然気にしない。物語は、読まれてこそ、なんぼの世界だ。これは、コピーライター上がりという出自から来るものあろう。俺も長年コピーライターをやって来ただけによくわかる。大先生と比べるのは不遜か。
しかし、桐野夏生宮部みゆき高村薫etc、女流作家は、現代の問題を取りあげるのが巧み。女性ならでは、とらえ方というものがあるように思えてならない。こんなこと書くと、ジェンダー問題か。まぁ、いい。

この物語を読んで、勉強になったことが五つある。
①裁判は、法廷が始まる時には、すでに勝負がついている。
②歯医者の開業医は、内科医より、儲からない。
③エリートの弁護士より、成り上がりの弁護士の方が、仕事に困らない。
④早稲田の政経の女子は、ブスだが、たくましい。
⑤夫は、妻の事を全然わかってない。

ペシミストの俺としては、希望があるエンディングが、なんとなく鼻につく。まぁ、その方が世間受けはいい。コピーライター上がりの宿命大殺界か。

なんか、広告もイケてる。
f:id:doncoyasuo:20210715092049j:plain
三浦友和大島美幸尾木直樹。ナイスキャスティングである。

唯一、ケチをつけるとすれば、正確には、【8050】ではなく【5020】だが、30年後の話とすれば、そんなの関係ねぇか。現実は【9060】になろうとしている。
真理子、次回作も期待しているぜ!