どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

吾妻ひでお【失踪日記2 アル中病棟】を読んで、なんとなく思う事。

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アルコール依存症におちいってから、数々のアルコール依存症関連の本を読んだが、これがベストワンである。315頁のかなりの分量だが、一気に読み終えた。まぁ、漫画ということもある。Amazonのレビューの数が、なんと280個。俺はレビューは、あまり熱心に読まないが、この本に関しては、すべて読んだ。面白かった。本作がいいと、そのレビューも面白くなるのか。
しかし、吾妻が故人だったことを知ったのは、少々、ショックだった。まぁ、前作の【失踪日記】を読んだ時に、長生きはできんだろうと思っていたが、享年69歳。しかし、アルコール依存症だったことを考えると長生きした方かなとも思う。死因は、食道がん。アルコールが原因なのは、間違えないだろう。
余談。俺は、今のところ食道はなんとか大丈夫だか、胃の上部に静脈瘤ができている。食道静脈瘤は、よく聞く病名だが、胃上部静脈瘤も同じ病気だ。肝臓が、アルコールの飲みすぎで耐えれなくなり、静脈瘤を作って、血液をそちらに逃がすような感じの病気である。食道静脈瘤の場合、食道に壁が薄いので、すぐに手術が必要だが、胃の場合、比較的壁が厚いので、すぐに手術とはいかないらしい。年に1回、胃カメラ検査をするはずだったが、アルコール依存症で入院することなったので、それどころではなくなって、そのまま放置してある。医者曰く、「いつか静脈瘤が破れて、血を吐いて死んでいく。そんな奴を腐るほど見て来たそうな」余談になったが、さらに余談。胃上部静脈瘤の検査は、胃カメラを飲むのだが、胃カメラ技師が食道を検査した時に、「食道は、きれいだな」と残念そうに賜った後、胃の方にカメラが入っていった直後

「あった!あった!」と

本当にうれしそうに技師が叫んだのが、今も耳の底に残っている。
手術する場合、足の付け根から、カテーテルを入れて、血管を通って、胃の上部までいき、そこで静脈瘤を固めるらしい。俺の場合、酒の飲み過ぎで血液中の血小板が極端に少ないので、輸血が不可欠らしい。今は、そんことないと思うが、輸血が原因で肝炎になったことを聞いたことがあるので、手術は見送った。閑話休題

さて、肝心な本の内容だが、アルコール依存症で入院した者にとっては、なかなか興味深い。まぁ、健全な人にとっては、今一つの感じかもしれない。なにしろアル中病棟の内容について詳細を極める。実際に入院した頃の経験がよみがえる。病院によって、細部は、違う部分はあるが、基本は同じのような気がする。
アルコール依存症になり、入院すると、まず不眠に苦しむ。俺もそうだった。午後9時に睡眠剤を飲むが、まず眠れない。それまでは、酒の力を借りて眠れていたのだが、それがなくなった。当然、眠れない。(酒の力で、眠ることは、本来の睡眠ではなく、単に脳が麻痺しているだけで、睡眠とは異なると教わったが、本当かしらん)眠れないと2回目の睡眠薬をくれる。この本では、午前1時までだが、俺の入院先は、午前3時まで可能だった。夜中にナースコールで、追加の睡眠剤を処方されるのは、結構、精神的に辛い。辛いけど眠れないので、飲むのだが、それでもなかなか眠れない。ようやくウトウトしてきた頃が起床時間の午前6時である。当然、睡眠不足で頭がボンヤリしている。これもなかなか辛かった。不眠の場合、ベットが地獄になるとよく言うが、まさにそうであった。脳が萎縮していると言われたので、そのせいかなと恐怖におちいる。アルコール依存症は、認知症になる確率も通常人よりはるかに高い。さらに落ち込む。まぁ、自業自得だが、なんとも切ない気分で、窓から晴れた空を眺めると、またまた落ち込む。落ち込みの連鎖である。実際、アルコール依存症うつ病は併発しやすいらしい。俺もそうだったかもしれん。唯一の救いは、このブログだった。入院当初は、ノートパソコンが禁止だったが、主治医に泣き泣き頼むと許可がでた。昔々のブログだったので生きているか心配だったが、なさんとか生きていた。早速、再開したのだが、ずいぶんとほったらかしにしていたので、勝手がわからず苦労したが、なんとか再開。ブログを書いていると、ボンヤリとしていた頭が、なんとなくスッキリした感じになった。錯覚かなと思ったが、錯覚でもいいや。とりあえず、書きづづけよう。また、横道にそれた。
アルコール依存症の治療には、この本にあるように、抗酒剤による治療があるが、俺の場合、離脱症状はなかったので、服用はしなかった。後はアルコールセミナーみたいなミーティングがあるが、俺の場合、アルコール依存症で入院している人が少なかったので、講師と一対一の場合が多かった。なんだか妙な感じだった。
退院した今、この本にあるように、断酒会やAA【Alcoholics Anonymous】に参加するようにしなければならないのだが、なんとなく気が重い。なんとも、やっかいな病気になったものだと、しみじみ思う、今日この頃。嗚呼、桜が満開である。