どんこのアル中 日記

名古屋在住の【年金生活者】。方丈記&徒然草。

原田 宗典 【メメント・モリ】を読む。

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2015年の発売当初から、なんとなく気になっていた。だが、その頃は、本を買って読むという習慣から遠く離れたいた。老眼になったせいもあるが、読み続ける根気が失せていたのだろう。同時期に【つかこうへい正伝】を買っている。これは発売と同時買って、むさぼり読んで、友人にも、勧めた。なんか、矛盾しているか。つかこうへいは、大学の卒論のテーマだし、何度も舞台をみたからか。話がそれた。その【つかこうへい正伝】の中に新潮社の発行案内のチラシがあり、原田宗典の【メメント・モリ】の刊行を知る。

あ、復活したんだ!

と思った。以前、新聞で大麻で逮捕されたと読んだので、もうダメなんだろうと思っていたが、復活したんだと少し嬉しくなった。なぜ、嬉しかったのか。俺と原田は、早稲田大学第一文学演劇専攻の同じ演劇ゼミに所属していたクラスメイトなのだ。だた、大学の教室で原田の会った記憶はない。彼は、ほとんど授業に出てこなかったと思う。卒業名簿で同じクラスだったことを初めて知った。連絡先は、不明だった。

そんなこんなで、若い時には、若い原田の本をよく読んだ。当時はたいして面白いと思っなかったが、けっこうの量を読んだ記憶がある。たぶん、最初の下宿が西武柳沢だったり、(俺は一駅離れた田無に住んでいた)早稲田学生会のアルバイトの話に親近感を覚えてたのだろう。(俺もここはよく利用したが、割にいいバイトはなかった) なんか、枕が長くなった。桂枝雀の落語でもあるまいし。

で、感想。【メメント・モリ】。ベタなタイトルだ。藤原新也にも同じタイトルの本がある。アルコール依存症で入院中という、少し普通ではない環境にいると、なんだか読んでみたくなった。電子版も発行されていたので、外出完全禁止でも読むことができた。

まさに、「死を思え」の作品だった。詳しく書くとネタバレになるので控えるが、鬱病大麻で逮捕、不倫だ相手からの訴訟。そして、自殺未遂。またまた詳しく書くとネタバレになるが、【暗転】の言葉に原田の復活を予感した。145頁で、1,024円。ページ数の割には高い気がするが。145頁というページ数が今の原田の限界なのだろうと妙に納得した。1時間あまりで読み終えた。昔の明るい原田もいいが、暗い原田もなかなかいい。やっぱ、一度身についたものは、その気なればなんとかなるもんかと思って。問題は、その気になるかどうかだが、これは実に難しい問題。アルコール依存症の今、しみじみ思う。

で、蛇足。
俺と原田は、よく似ている所がある。大先生には、失礼な話か。同じ【早稲田大学第一文学演劇専攻昭和57年度卒業】である。授業に出てこなかた原田がなぜ卒業できたのかは不思議だが、当時の早稲田は、そんな奴はゴロゴロいた気がする。卒業するより中退のが偉いという奴もいたが、それは才能あっての話だ。次にコピーライターの過去がある点だ。原田は、有名な個人のプロダクションのコピーライター。俺は、外資系企業広告会社のコピーライターだった。(俺の場合、リストラの危機を何度も乗り越えたが、その後は悲惨な結末)。原田は、売れるエッセイ的な小説は書くし、芝居の脚本は手掛けるし、八ヶ岳かどこやらに別荘は持つし、順風満帆という人生。ここらあたりは、俺と少し違う。次に高校時代に小説の賞を受賞している点。当時、学研から高校向けの受験雑誌を刊行していて、年1回、小説の募集をしていた。俺は、高校二年生の時に、【猫】という作品で、一番末端の賞を受賞した。高校生がてなづけた野良猫を殺し、その瞬間に射精するというどうでもいい内容。原田は、その翌年、たぶん大賞?を獲得した。優秀な受験生がおかしくなって、誰かを殺すだろう、たぶん母親。タイトルは、【失透】。なんかガラスが不透明になる現象の言葉である。文庫本の【処女】の一番最初に収録されている。高校生の作品だから、まぁ、どんなもんかという感じだが、俺の【猫】よりは、よかっただろう。
その後、推薦で早稲田大学第一文学に進学。当時、頭のいい進学高校には、1高校1名の推薦枠があった。原田は、アホであったが、どうしても早稲田に行きたいといく意欲が先生に評価されて無試験で早稲田に入学した。いいよなぁ。俺の高校は普通の進学校だったので推薦枠はなく、2年間必死に勉強して(嘘)、二浪して、一般入試で早稲田に入った。余談だが、箱根駅伝でアナウンサーが、「この選手は一般入試で早稲田に入りました」みたいな、人を小馬鹿したコメントをするが、一般入試で早稲田に入る苦労を知っているのか、ボケ!嗚呼、いかんいかん、話がそれる。
最後に演劇である。まぁ、演劇専攻だから、当たり前田のクラッカー(旧くて何が悪い)
原田は、東京壱組の座付き脚本家みたいなことをしていた。俺は、早稲田大学演劇研究会のバリバリだった。当時、劇研では、一番のイケメンだった。これは、俺が言うのではなく,そういうブログが存在する。
suzukatzcloud.hatenablog.com

まぁ、昔々の昔話だ。
で、結論。原田は、とりあえず、復活した。その後は知らないので完全復活かどうかは疑問である。俺も復活したい。俺の場合、復活とはなにか。自問自答の日々である。
最後、おまけ。原田も俺も、金がない。原田は、あれだけ本を出版したが金がないらしい。出版不況だから、印税もままならないのだろう。俺も定年後無職だから、金がない。アルコール依存症の入院中の部屋代は、1日3000円、これも馬鹿にならん。大部屋は、なんだか、ほんまもんの精神病棟いう感じで、正直いってafraid。いかんいかん、全然違う結末になった。徒然草とは、名ばかりなりけり。原田!一緒に頑張らないでおこう。(頑張ると病気が悪化するからねBY精神科医

PS 新潮社の惹句「ろくでなし文学」は、いかがなものか。
PS 正確に言うと【鬱病】ではなく【双極性障害】。入院中に学んだ。
PS 原田は同級生だが、俺が1歳年上だ。

あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ち去らでのみ住み果つる習ひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。